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ユニバーサル
  デザイン概論(1)
ユニバーサルデザイン 概論

 一口にユニバーサルデザイン(以下、UDとします。)といっても、それは一体何なのでしょうか。私なりに(主観も含めて)調べたり考えてみました。
 UDの概要    UDの基本理念   UDの歴史   UDのこれから 

 ★UDの概要  上へ

  • UDって何なの?

     UD(ユニバーサルデザイン)とは一体どういうものでしょうか。ユニバーサル(Universal)を日本語にすると[普遍的な・一般的な]となります。さらに[広範囲の・多方面にわたる・ あらゆる目的にかなう・万能の]という意味も含まれています。まさに普遍的で広範囲の人、すなわちお年寄りでも子供でも男性でも女性でも妊婦でも文化や習慣が違う人でも障害者でも容易に使えるもの、それがUDの考え方です。
     しかしながら、やはり完全なUDというのはありえないのが実際です。そこで、ある程度の自助具を使うこともUDの範ちゅうに入るのが現状のようです。


  • バリアフリーとは違うの?

     バリアフリー(BF)とは、生活するうえでのバリア(障壁)を取り除く(フリーにする)ことを意味しています。対して、UDははじめから障壁の無いように作られたものなのです。
     わかりやすく言うと例えば、

     ◆階段やエスカレータに車イス用昇降機を付けるのがBF、最初からスロープやエレベータにするのがUD。

     ◆スポーツをするときに、不利なほうにハンディや特別ルールを設けるのがBF、有利なほうが不利なほうと同じ条件にするのがUD。

     ◆カップラーメンを食べるときに、スープの袋が開けられなくてハサミを使うのがBF、最初から麺にスープがしみ込ませてあるのがUD。(??)

    といった具合です。
     また、ともするとBFというのは人によっては(悪気が無くても)”煙たい”と感じることもあるかもしれません。あくまでもBFは不自由を感じている人のためのものであり、そのような意味で言うと必ずしも”公平”ではありません。したがってヘンな誤解も生まれてしまいがちです。その点でもUDははじめからすべての人を対象にしているので、受け入れやすいと思います。
     しかし、BFが旧来のものかというと、そうではなと思います。UDはまだまだコンセプト的な域を脱していません。BFの方が”直面している問題をその場で解決する”という意味では直接的かつ実践的です。例えば、車イスで駅を利用しようとしたときにホームまで行くのに階段があるとします。そんな時、現在は車椅子用昇降機を駅員さんに出してもらったり大勢の駅員さんや通りすがりの人にお願いして持ち上げてもらい対処します。これは完全にBFです。UDを目指すためにスロープやエレベータにしようというのは、ほとんどの場合”今度改装するときは”という前置きがついてしまうでしょう。それは仕方の無い話であると同時に当然の考えです。UDの弱点は、つい理想論に走ってしまいがちという点ではないでしょうか。そういった意味でBFというのはこれからもなくなることは無いでしょうし、UDとBFというのはとちらも生活の質を高めるという点で似ています。(同じかどうかはわかりません・・・)


  • 誰のためのものなの?

     実は、誰のためのものでもありません!
     というと語弊がありますが、UDと聞くと、とかく障害者やお年寄りの人のためのものと思われがちですが、実はUDってすべての・ありとあらゆる人たちのものなのです。”(特定の人)のためのもの”というよりは”(特定の人)使えるもの”と言ったほうが良いかもしれません。
     極端な話、左利きの人や”ちょっとぶきっちょ”な人  使えるものもUDなのです。


  • 一部の間だけで盛り上がってるだけなんじゃないの?

    そうでもないようです。リンク集を見ていただけるとわかりますが多くの公的機関や企業でも近頃はホームページ等でUDに関する取り組みを紹介してるのを見ます。もちろん、草の根で頑張っている人たちも多くいらっしゃいます。

  • 問題点は?

    確かにUDにも問題点や疑問点があると思います。私なりにいくつか上げてみました。

    ◆前述のようにUDはどちらかというと[考え方]という側面が強いので、どうしても理想論に走ってしまったり話が飛躍しすぎてしまって本当に役に立つのか。
      対処→対象としている事象やテーマ・そして求められる結果を明確化する。
          開発した製品が実際に使われている様子を想像する。

    ◆過剰にUDを意識しすぎてかえって使いづらくなったりしないか。
      対処→あくまでも一般商品として開発することを意識する。
          開発に当たっては第三者の意見・感想を聞き、それらを客観的に分析する。

    ◆本当に普及するのか。
      対処→商業ベースにうまく乗せる。 = 値段的にも機会的にも手に入りやすくなる。
          逆の意味でUDを意識させなくする。


  • 難しいことを並べましたが、要はたった1文字で言い表せるんです。

    [も]
    子どもも、大人も、女性も、男性も、障害者も、高齢者も、左利きも、右利きも、外国人も、車イスも、ベビーカーも・・・。もちろんすべてをカバーすることはできませんが、より多くの人が使える・使いやすいものがユニバーサルデザインなのだと思います。そう、ですよ。(笑)

 ★UDの基本理念  上へ

 私が思うに、UDの基本理念とはとてもシンプルなもののような気がします。それは、[誰もが同じ物を同じように使える]ということではないでしょうか。しかしそれは言葉でいうほど簡単なことではありません。ただ、こんな考え方はどうでしょうか。
 [100人の人がいる中で、50人が使えるものよりも80人が使えるもの]
100人の人すべてが同じように使えるものは、おそらく無いでしょう。ただ、”より多くの人”が使えるもののほうが[モノ]としても[商品]としても価値があるのではないでしょうか。そして、どうしても使うことのできない20人の人に対してそれを補うためにバリアフリー商品があると思うのです。

考え方を具体化させるためにUDには7つの原則があります。

UDの7つの原則

原則1:誰にでも公平に利用できること
原則2:使う上で自由度が高いこと
原則3:使い方が簡単ですぐわかること
原則4:必要な情報がすぐに理解できること
原則5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること
原則6:無理な姿勢をとることなく,少ない力でも楽に使用できること
原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること

 ★UDの歴史  上へ

 1990年代に入り、アメリカではADA法が成立しました。それを契機とし、当時建築家で大学でも教鞭をとっていた故ロナルド・メイス氏はそれまでのバリアフリーから”ユニバーサルデザイン”というコンセプト(考え方・手法)を提唱したのです。メイス氏は1989年、現在の研究所の前身である[センター・フォー・アクセスシブルハウジング]を設立し、主に居住空間(バス・トイレ等)に関するUDを研究・設計していましたが1996年には活動の変化に伴い[センター・フォー・ユニバーサルデザイン]としました。
 日本で初めてUDという言葉が使われたのは1996年、[人にやさしい公園づくり-バリアフリーからユニバーサルデザインへ ](著者:浅野房世・亀山 始・三宅祥介 出版:鹿島出版会  発行:1996年6月30日)という著書の中ででした。その後新聞や各メディアで取り上げられ、企業の間にもこの考え方が取り入れられるところとなり始めて今日に至っています。また、地方自治体でも2000年ごろから静岡県や熊本県で取り組みが始まり、現在では他の道府県(わが東京都ははっきりとしたUDのページが無い・・・)でもホームページ上などで取り組みが報告がされるようになりました。

 ★UDのこれから  上へ

では、これからのUDはどうなっていくのでしょうか。私が望む最終到達点とは、車いすマーク(正式には国際シンボルマークと言うのだそうです。)、そしてさらに”UD”という言葉自体が無くなることです。
 UDが常識となりすべての場面に浸透すれば、あえて”UD”と謳(うた)う必要が無くなると思うのです。もちろん、それは長い道のりになるでしょう。しかしながら、道幅は確実に広がってきています。すでに多くの企業団体自治体でもこの考え方を取り入れるところが増えています。中でも、これまでは住宅や建築関連の企業が中心でしたが最近では文具メーカーや電機メーカーでもUDという言葉を使うようになりました。企業が取り入れると言うことは、それが遅かれ早かれ収益につながるという考えの表れです。そうなると、ますます研究・開発が進みおのずと我々に返ってくることになります。
 これまでのバリアフリーはNeeds(必要性)しか認められませんでした。しかしこれからは、UDによってWants(欲求)もかなえられる時代になったら、なにより幸いなことです。
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