トップ > さぁいっちょ ぶぁーっといきましょー!   前へ 次へ

○○拒否

 以前、車いすの人が飛行機の搭乗拒否をされるということがありました。考えてみれば、我々障害者は「○○拒否」ってけっこう“あるある”だし、それといつも闘っている気がしますね。だから、当時ニュースで大きく取り上げられても「えっ、今ごろそんなこと言ってんの?」と正直思ってしまいました。

 基本的な話なんですが、良くも悪くも障害者って世間的には少数派なんですね。なので街の構造も自然と多数派である健常者に合わせた形になっています。従って健常者が普通に使えるものが障害者には使いづらかったり、使えなかったりするものが出てきてしまいます。そこで摩擦が起こるわけですよ。で、結果、別に悪意はなく乗車拒否だったり、入店・入場拒否だったり、参加拒否などということが起こってきてしまいます。“拒否”という言葉は強いですが、例えば「うちの店は狭いですし、お客様も多くて危ないので申し訳ありませんがご遠慮いただけますか。」などと、“やんわり”断られることが多いです。あと「車いすでいらっしゃっても構わないのですが、対応に慣れていませんので・・・」とかね。
 これまでは少数派が我慢することが多くありました。これは、ある意味で仕方ない面もあると思います。いつ来るかわからない障害者のために万全の準備なんてできないのは当然です。ですが、我々の側にも「そうは言っても、俺らだって健常者と同じことしたいよ」という思いは出てくるわけで、先輩たちはその要求を相手側に伝えたり、時にはぶつけたりして、現在では我々も普通に使えるようにしてくれた歴史があります。駅のエレベーターなどが代表的なものですね。それは本当に感謝しなければなりません。

 冒頭の件で思うのは、「いやぁ、、これ、どっちかが全部悪いことでもないよな。」ということです。正直、どっちに対しても[ん?」と思ってしまいます。航空会社のほうも、いくら設備がないとはいえ、「車いすの人は搭乗できません。」なんて無下に言うこともないですし、いくら[規則]だからといって一切タラップでの手伝いをしないというのは、うーん・・・とも思います。言っても公共交通機関ですからね。。それなりの責任とプライドがあると思うんですけどね。
 一方で、拒否されたほうも、これ見よがしに自分で上らなくてもいいだろ!とも思っちゃうんですよね。。
 あれはねぇ、、ちょっとやり過ぎちゃったなと思ってしまいます。そりゃ、あそこであんなことをすればすごくインパクトがあって良いアピールになるでしょうよ。ただ、いっしょに乗っていたであろう他のお客さんはいい迷惑ですよね!(笑)自力でタラップを上るのに何分かかったか知りませんが、その間、ずっと待たされているわけでしょ、、とばっちりもいいところです。
 あれはパフォーマンスだと思われても仕方ないでしょうね。。例えば他にお客さんがいなくて、空港や航空会社もその後の運行に支障がなければやってみてもいいかもしれませんが(笑)、他にお客さんがいてとなると、うーん、、障害者である前に人としてどうなん?とは思ってしまいますね。。果たして、他のお客さんを待たせてまでアピールしなければならないことだったのかなと思ってしまいます。私は気が小さいので、とてもできないなぁ。(いや、腕の力も無いので本当にできないんですけどね。笑)それに、そんなことをしたことで逆に「(他のお客さんに)障害者って面倒くせぇな」なんて思われてしまったら、元も子もありません。
 もちろん、今回は状況が悪かったのも事実です。離島の小さい空港で(奄美空港は小さい空港か?)、設備も十分ではないところに突然、車いすの人間が行ったわけですからね。。スムーズに事が進まないことも間々あるでしょう。さらにLCCというのもミソで、LCCというのは料金が安い代わりにサービスを削る訳ですよね。当然、人件費削減のためスタッフも少ないはずです。必要な機材も無いかもしれません。「そりゃあんた、乗せてあげたいけど限界がありまっせ。」ってなるかもしれません。(なぜ関西弁?)
もし大手であればボーディング・ブリッジ(ターミナルから飛行機の搭乗口まで通路みたいに繋がっている橋)で楽に搭乗できたかもしれません。(初めて知ったのですが、ボーディング・ブリッジも使用料がかかるのでLCCはほとんど使わないそうです。)

 また、よくある対応として「事前に連絡していただければ・・・」というのがあります。私もこれまで何十回、何百回(・・・は多いか?)とこの言葉は言われてきました。これねぇ、、もちろんわかるんですけど、、これって[必殺]でしょ。。(笑)これを言われたら「あぁすいません」って言うしかないですよね。。そりゃ、受け入れる側としては「普段からそんな万全な準備もしていないし、急に来られても困るよ。」ということだと思います。ただ、言われたほうとしても「またそれか・・・」と正直思ってしまうんですよね。「いや、もちろん可能な限り連絡はしますよ。ただ、急に決まることもあるでしょ。。」とかね。(笑)
 それでも、改めて思うのは、やっぱりそうは言っても(特に小さな店などに行く場合は)可能な限り事前に連絡はしておいたほうが良いよな。ということです。そりゃあ、「なんで障害者ばっかり前もって連絡しなきゃいけないんだよ」って思ったりすることもあるのですが、いずれにしても相手側には多少なりとも配慮なり準備なりで負担をかけてしまうわけで、こちらもその辺のスジは通さないとバランスが悪いですよね。(とは言っても、ついアポなしで行っちゃったりするんですけどね。。汗)
 「こっちは金払ってんだから!」という意見もあるかもしれませんが、それは商品やサービスについての対価であって、配慮や準備はあくまで店のご厚意です。つい、「お金を払っているんだから、そんなの当たり前」なんて思ってしまいがちなんですが、そこは我々も勘違いしないようにしないといけませんね。

 最近では、バリアフリーという言葉もすっかり定着してきました。さまざまな法律も整備され、我々障害者も暮らしやすい社会になってきています。もちろん、全部が全部、何が何でもバリアフリー化しろとも思いません。ですが、少しでも「○○拒否」ということが起こらないような社会になるように訴えたり、提案していかなければなりません。
 ただ、我々もその訴え方を考えないといけないと思うのです。私、いつも思うのですが、よく『障害者運動』とかって街で障害者がいろいろ訴えながらデモをやっていたりしますが、あれを見て「いっしょに参加したいな」とは思えないんですよね。。(笑)もちろん、時には集団で何かを訴えるのも一つの手かもしれません。ただ、これはあくまで私個人の意見ですが、デモをやって本当に訴えが伝わるのかなと思うんですよね。私もテレビや外に出たときに、障害者に限らず何かデモをしている場面を見ます。正直、、何も思わないんですね。「あ、何かやってんなぁ」とも思わないなぁ。。(ひでぇな!)なんなら、ちょっと引いた目で見てしまいます。何と言うのか、デモをやっている集団とその周りにいる人たちとの温度差がすごすぎて逆に壁ができているというかね。。
 それよりも私は、日常的に実際の生活の行動の中で訴えたほうが、よっぽど理解してもらえると思うんですよね。。普段の生活の様子をしっかりと見てもらうことで、よりリアルに状況を汲み取ってもらえると思うんですよ。それには普通に外に出て、普通に電車やバスに乗って、普通に店なり目的の施設なりを利用する。 そして、それを日常的に繰り返す。 これが大事だと思うのです。これって、すごく地味で時間のかかる方法ですが、伝わる量も質もこちらの方が上だと思います。
 例えば駅などは、今は日に10人車いすの人が来て、その都度駅員さんが階段の上げ下ろしなどを対応しているとします。それが、上述のように普通に車いすの人が電車を使うようになって、日に50人、100人となるとすべて対応できなくなるかもしれません。そうなってきたときに、「じゃぁ、数段の階段であればその一部をスロープにしようか。急な階段であれば別の場所にエレベータを置こうか。」って話になるかもしれません。(いや、何も数にもの言わせようと言ってるんじゃないですよ。笑)スロープやエレベーターができれば、車いすの人だけでなくベビーカーを使う人や歩くのが大変な人も利用しやすくなるかもしれません。(もちろん、健常者も「階段?面倒くさいなぁ、エレベータにしよ」っていうのも私はアリだと思います。)それは駅を使う側だけでなく、場合によっては駅員さんのほうにもメリットがあるかもしれません。
 そう考えると、これからは障害者だけでなく、いろんなグループの人たちといっしょになって何かを訴えていくというのも良いかもしれませんね。どうも障害者だけでこういうことをすると、ヘンな色眼鏡で見られることもありますが、例えばベビーカーを押すお母さんたちといっしょになってやるとかね。。立場は違っても、困っていることが同じであれば分かり合えるかもしれません。

 「○○拒否」というのは、もちろん物理的な要素もありますが、受け入れる側の理解不足・経験不足というのも大いに関係していると思います。前者は仕方ないとしても、後者のほうは我々の側も努力できる話です。まぁ、努力というのは大げさですが、気軽に街に出て、最初のうちは鬱陶しがられても通い続けていれば、少しは理解不足も解消されるのではないでしょうか。(いや、もちろん謙虚さは大事ですよ。)そして、それが続けばやがて“慣れ”になってきます。“慣れ”ちゃったらもうこっちのモンでね。。(笑)そこからはもう、障害とか関係なく一人の人間として接してもらえるようになるかもしれません。
 これって、えらく時間もかかるし根気も要ります。もしかしたら途中で断念してしまう場合もあるかもしれません。ですが、こうやって少しずつでも、互いに顔の見える形で話をしたほうが解決が早いような気がするんですよね。。もちろん、それでこちらの様子を理解してもらえれば、その後の関係性も良いはずです。

 「俺には権利がある!」とか言って無理矢理[拒否]をやめさせたところで、その後の関係なんてうまくいくはずがないのですから・・・。


上へ   前へ   次へ   INDEXへ戻る