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「ごめん、あとでメモ書いてきて!」

 これは、私が昔から散々言われてきた言葉です。
 もう、若い頃から何十回、何百回と言われてきましたが、どんな時に言われると思いますか?
 そうですねぇ、、一番多いのは例えば、私がその人に話したいことがあって、話しかけた時に相手が急いでいたりすると、この言葉が出てきます。それとか、何かみんなで討論(というほど大げさではありませんが)をしていて、ほかの人はそれぞれれ意見を言う中、「じゃあ俺も」と思って意見を言うのですが、やはりどうしても言葉を聞き取るのに集中しすぎて途中で文脈がわからなくなってくるんですね。(笑)その時もこの言葉が出てきます。また、向こうから話しかけられて私が答えているときも、言葉が聞き取れなくてこれを言われることもあります。

 いや、別にいいんですけどね。。(笑)
 そりゃ、書いて来いって言われりゃ書きますけどね。

 ・・・と、若い頃はブーブー思っていましたね。(笑)「なんで俺だけ“あとで”なんだよ!」とか、「いくら自分の言いたいことでも、そんなにあとまで覚えてねーよ!」とかね。。(笑)毎回「あー、めんどくせぇなぁ」と思いながら書いていた記憶があります。
 もちろん、「メモ書いてきて」と言う人から見れば、私にちゃんと思いや意見を言わせてあげたいという優しさで言ってくれているのだと思います。ただ、中には単純に私の話を聞くのが面倒くさい人も残念ながら居たりするんですよね。。(苦笑)そういう場合で言われるとちょっと「ムムムッ」と思ってしまいます。(笑)そんな時って、なんとなく相手の雰囲気でわかりますよね。(笑)

 一方で、なんだかんだ言いつつ、私もそれで助かっている部分もあります。やっぱり、本当に言いたいことは文章にしたほうが(悔しいけど)伝わるんですよね。。(笑)どうしても言語障害って、細かい言い回しを省かれちゃったり、自分自身で省いちゃったりしちゃうんですよね。。例えば、本当は『私は○○も良いとは思いますが、××の方でも良いかもしれません。』と言おうとした時に、これを口で伝えようとすると、場合によってはなかなかの労力を使うことになります。一発でスッと伝われば良いのですが、そうじゃない場合、まず、聞き取れた部分から拾われます。○○の部分が聞き取れると「滝沢さんは○○が良いですか?」と振られます。当然違う意見なので、首を振ります。そうすると聞くほうも「え?違うのかよ!」ってなりますよね。(笑)すると今度は、私はわかりやすく言おうと思って「××です。」(「です」も言わないことが多いですね。)と言ってやっと通じます。結局は○○か××、はい/いいえの極端な意見になってしまいます。まぁね、、意見がはっきりしているという意味では欧米的で良いんですけどね。(笑)少なくとも私は日本人なので、“気遣い”のあるところを見せたいですよね。(笑)そこが伝わらないのが、一番もどかしい部分でもあります。
 文章にすることで細かい言い回しも伝えることもできますし、しっかりすべてを伝えることができます。そういう意味では重要なツールのひとつではあります。

 ただ、文章というのは“意見”は伝わっても、“思い”というものはなかなか伝わりづらいものだと最近痛感しています。
 いくら書き手が熱い思いを切々と書いても、読み手の受け取り方で雰囲気も変わってきてしています。
 だから、書き手のほうがいくら丁寧に書いた文章でも、読み手が不快に取れば不快な文章になってしまいますし、逆にちょっと横柄な文章でも、読み手が好意的に取れば心地よい文章になります。

 例えば、「こんにちは、調子はどうですか」という文章、あなたはどう取りますか?
 まぁ、多くの人は「あ、気遣ってくれてるんだな」とそのまま受け取ると思います。ですが、関係性によっては皮肉になったり、圧力になったりすることもあります。
 もちろん、文章の前後や感嘆詞の使い方などで判断すれば、おおよそのニュアンスは伝わるでしょう。ただ、こんなもん口でしゃべれば一発で伝わるんですよね!(笑)実際にしゃべっているときは、例えば声の高さや大きさだったり、スピードだったり、あと重要なのが表情や“目”ですよね!(笑)これらで判断して相手の“思い”を察することができます。文章は字づらだけですからね。。理路整然と書けば“意見”としては伝わりますが、“思い”を伝えようとすると難しいかもしれませんね。
 絵文字や顔文字が発達したのも、おそらくそのせいかもしれません。少しでも気持ちや思いが伝わるようにね!なんとか工夫していったんでしょうね!(笑)

 「こんにちは、調子はどうですか!?(^_^)v」
 これなら、まぁ、ポジティブな意味なんだろうな。ということがわかると思います。(でも、これはこれで、ある意味怖いですけどね。笑)感嘆符や顔文字があるだけで、書き手の気持ちもある程度伝わってきます。ただ、それでも限界はあります。気持ちの起伏は伝わっても、喋り方のニュアンスまでは細かくは伝わりません。もちろん、当然の話なんですけどね。(笑)

 それでもなんとか言葉のニュアンスまで伝えたいと思って、いろいろと試行錯誤してきました。気持ちを伝えるにはどんな文体が良いのか、どうすれば自分の気持ちが相手に響いてもらえるか、いろいろと試しているうちにたどり着いたのが「それなら、しゃべるように書いてみよう」ということでした。もともと、しゃべる代わりのメモですからね、だったらしゃべっているような文章でいいじゃん!と(当時)思ったのかもしれません。その結果、ここでのコラムのような口語体だか文語体だかよくわからない不思議な文体に仕上がっていったのでした。(笑)
 これがねぇ、、「すごく読みやすい」と言ってくれる人もいれば、「こんなの文章じゃねぇ!」と言う人もいて賛否両論なんですよね。。(大げさだろ!笑)昔、職場の上司に進捗の報告をするときに、ほかの人は口でしゃべっていて、私だけ例のごとくメモなんですね。だから、別にラフでもいいかなと思って書いたメモがどうも気に入らなかったみたいで、「滝沢さん、“○○ですよね?”の“よね”は文章としておかしい!」と言われてしまったんです。私も「うっせーなぁ、こっちは簡潔に伝えようと思って敢えてそうしたのに!」と思ったのですが、そこはグッとこらえてね。(笑)でも、ムカついたから次からは“よね?”の部分を“○○だと思われますが、それでよろしいでしょうか?”と長々と書いてやりました。(笑)まぁね、、もともと反りが合わない上司だったので、お互いにやることが気に入らなかったんでしょうね。(笑)
 だから、文章を書くことに関しては、良くも悪くもいろいろな場面で鍛えられましたね。(笑)もちろん、メモ書きだけでなく例えば若い頃のネットの掲示板の書き込みや、メールのやり取りや、その他諸々、昔から文章を書くことが多かったんですね。それも大きな要因になっていると思います。嫌々書くだけだったら、ここまで工夫はしなかったと思いますし、こうしてコラムも書いていなかったでしょうね。

 ところがその一方で、自分でも「うーん・・・」と思うことがあります。あんなに面倒くさがっていたメモを、最近は自分から進んで書くようになったのです。例えば今だったら、3か月に一度、病院に薬をもらいに行くときに、先生に体の状況を伝えるためにメモを書きます。また、何かの用事で役所に行くときも、あらかじめ聞きたいことをメモにしていきます。一見、スムーズにコミュニケーションがとれて良いようにも思えますが、最近どうもねぇ、、“それ”に頼っているような気配があるんですよね。。(笑)
 いや、自分でも自覚はあるんです。「最近、やたらメモ使ってるなぁ」って。どうしても、スムーズに会話しようと思うとメモにして見せたほうが早いし、相手にも迷惑をかけないんじゃないかと、要らぬ気を回してしまうんですよね。。それって、実は自分が良く思われたかったり、面倒くさいと思われたくなかったりするだけで、案外しゃべってみると、じっくり聞いてくれるかもしれません。
 その結果、メモを見せれば話は通じて“しまう”ので、当然、しゃべる機会は減ります。これねぇ、、友達とウダウダしゃべるのと、こういうちゃんとした所(?)でしゃべるのはちょっと違うんですよね。友達としゃべっているときは、まったく力が入っていなくてリラックスした状態でしゃべれるのですが、役所などでしゃべるときは、どうしても力が入ってしまってうまくしゃべれないんですよね。それでも以前は、力が入ったなりのしゃべり方ができたのですが、メモでしゃべる機会が減ると気のせいか、ちょっとヘタになったような感じがするのです。しゃべろうとすると以前より余計に力が入ってしまうんですよね。。最近では、最後の「お願いします。」もたまに噛みます。(笑)
 だから、あんまりメモに頼っちゃいけないのかなぁとも思うんですよね。。多少鬱陶しがられても、少しはしゃべって伝えてみようと! ・・・ただ、、やっぱりねぇ、、おっさんになると“安パイ”なほうを選んでしまうんですね!(笑)正直、今はちょっとした葛藤があります。

 そしてさらにもうひとつ、「うーん・・・」と思うことがあります。『文字盤』ですね。
 これもまた微妙な話でね、、上と似たようなことなんですが、「最近、やたら文字盤使ってるなぁ」って。(笑)こっちはより身近な話で、例えばヘルパーさんと話すときに“つい”使っちゃうんですよね。。(苦笑)もちろん、ずっと入ってもらっている人はさすがに使いませんが、最近入った人や私の言葉が聞き取りづらい人と話をするときは、もう“文字盤ありき”になってしまっています。昔は言葉が通じなかったら何度もしゃべる気力も根性もあったのですが、最近は2、3回通じないだけで文字盤に目が行ってしまいます。(汗)いやー、いかんいかんって思いますよね。。(笑)
 どうしても言葉が通じないときの[最終手段]として用意した文字盤なんですが、[最終]ではなくなってきています。まぁね、、通じればどんな手段でも良いじゃん!って話なんですけどね。。前述のとおりやっぱり喋った方が気持は伝わりますよね。そのためにも、文字盤に頼らずね、、どんどん口でしゃべってヘタにならないようにしないといけないんですけどね!(わかっちゃいるんだけどさぁー・・・笑)

 メモも文字盤も、使い方によってはとても便利です。ただ、どうしても伝わりづらいものがあるんですよね。。それは“笑い”です。文字だけで笑わせるのって、、なかなか至難の業ですよね!(笑)

 「滝沢さん、言葉は聞き取りづらいけど、話は面白い!」
  うーむ、言われてみたい・・・。(笑)
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