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80年代

 なんでも、今、若い人たちの間で1980年代の曲が流行っているそうです。
 話によれば、歌詞が分かりやすくてスッと入ってきたり、曲調も今にない感じで良い。とのこと。

 80年代ど真ん中の私としては、「だろぉ?君たち、よくぞこの良さに気付いてくれたな!」ってな感じです。(笑)
 私は1970年生まれで、10代がまるまる80年代なんですね。だから、ちょうど人間ができるときに聴いていた音楽なので影響はものすごく大きいです。もちろん、それ以前(70年代)にも山口百恵やピンクレディーなども聴いていましたが、それはただ流行っているからだったり、周りが聴いているから聴くといった感じで、自分のお気に入りの歌手や歌を選んで聴くようになったのは、やっぱり80年代ですね。。
 今思えば、全体的に華やかではあったと思います。『ザ・芸能界』って感じで、なんとなくキラキラしてましたよね。今と違ってアイドルもグループではなく、一人での活動が多くて、それぞれの個性が際立っていました。だから、おのずと歌う曲もその人の雰囲気に合ったもののなるし、それによって音楽の多様性が生まれたように思います。(松田)聖子ちゃんは「キャピキャピ!キラキラ!」って感じだし、(中森)明菜は「硬派・姐御系」といった感じで(や、明菜はちょっと違うんだよな。。表現が難しいな。)好きなアイドルによってその人のセンスがわかりましたよね。。(ちなみに私は「ナチュラル系」が好きでした!笑)もちろん、男性のアイドルも多くいて、[ジャニーズ系]なんていう言葉ができたのもこの頃だったと思います。私も、マッチは好きだったなぁ。。
 また、今はアーティストが自分で詞や曲を書くことが多いし、アイドルグループもそのプロデューサーが曲を作ることが多いと思うのですが、この頃はプロの作詞家・作曲家がいて、“その人のジャンル”というのがありました。そういう意味では同じ歌手でも、作詞家・作曲家によって曲の雰囲気が少し違ってくるということもありましたね。

 アイドルのポップス以外にも、ロックはもちろん当時は[ニューミュージック]なんていうジャンルもありました。(今思うと、ニューミュージックって何?って感じですけどね。笑)これがねぇ、、実に幅広いというか、曖昧というか、、要は歌謡曲でもポップスでもロックでも演歌でもフォークでもないものらしいのですが(諸説あります。)、とにかく何か“新しい音楽”だったんでしょうね。(笑)これもまた“センス合戦”が始まるわけですよ!同級生の友達は「アルフィーが良い」と言えば、私は「俺は佐野元春だな!」とか言って当時は盛り上がっていました。また当時はねぇ、媒体がカセットテープだったんですよ。。だから、友達と貸し合いして、“つい”ダビングしちゃうんですね。(笑)あの頃は小遣いも少なくて満足にカセットテープも買えなかったのですが、自分が聴かないような曲でも借りて聴くことができて、そういう意味ではラッキーでした。(もちろん、本来はやっちゃいけないんですけどね。汗)
 アイドルの曲は聴いていて楽しいものですが、ロックやらニューミュージックは、いろいろな価値観や哲学を学ぶ部分があるんですよね。私の場合は、この頃にいろんな音楽を聴きながら人生の“わびさび”を知りました。(大げさか!笑)
 さらに私が中・高でハマっていたのが、とんねるずです。この頃はとんねるずも歌を出していて、それが、いわゆる[お笑いの企画もの]的なやつじゃなくて結構マジのやつだったんですよ!アルバムも何枚も出しててね。私はむしろ、初めの頃はネタより歌のほうが印象が強かったですね。
 なにしろ、80年代のとんねるずは最強でしたからね!(笑)それまでのお笑いの人というのは、もう“いかにも”って感じの雰囲気でしたが、とんねるずは何かこう、カッコ良かったんですよね。当時で言う“トッポい”感じ?(古っ、)それが中高生の私にはものすごく新しくてカッコ良く見えたんでしょうね。でもってそのとんねるずがアルバム出したら、そりゃハマるでしょ!!(笑)

 80年代後半になると、私も高校生でしたからね。。一番音楽を聴いた時期ですね。聴く曲も、より自分の趣味に合ったものになっていきました。確か、高3でCDのデッキを買ったと思いますが、当時はレンタルCDというのがあって学校の帰りによく行ってました。それでまた借りてきたCDを“つい”カセットテープにダビングしちゃうんですね。。(いや、ほんとに“つい”ですよ!笑)そのおかげで、ますます聴く幅も広がっていきました。もちろん、アイドルの曲も聴きつつ、この頃はバービーボーイズとか久保田利伸なんていうのを聴いてたかな。。そう、だからこの頃は“みんなが知っている曲”というよりは“自分だけが知っている曲”がカッコ良いと思っていた時期でしたね。アイドルは、、この頃は“夕方5時のあのグループ”ですね!(おニャン子ってはっきり言えよ笑)
 もうね、、夕ニャンは毎日かじりつくように見ていましたね!(知らないかたは[夕(ゆう)ニャン]で調べてみてください。)初めはこれも、とんねるずが出ていたから見ていたのですが、そのうちおニャン子のほうに目が行くようになって、気付いたらどっぷりハマっていたというわけです。(笑)初めてアイドルの[ファンクラブ]というものに入ったり、(自己紹介のページにある「※元こニャン子クラブ」というのは、このファンクラブの名前です。)アルバムやら写真集やらが出ればいそいそと買ったりしてね。もちろん、コンサートも行きました。コンサートが決まると、だいぶ前から小遣いを貯めるために母親に「掃除手伝うから小遣いちょうだい」って言ってね。。「廊下拭くから100円ね」「洗面所の床拭くから100円ね」しまいには「拭いた雑巾をきれいに洗って干すから50円ね」と、どんどんどんどんやることを増やしていくわけです。ひと月もやったら、結構な額になっていました。今思えばボッタクリもいいとこですよね。(笑)
 そういう意味で言えば、この時期が一番パワフルでガムシャラだったような気がします。毎日アホみたいに楽しかったですね。
(ちょっと待て、、俺は何の話をしてるんだ!?笑)

 改めて80年代の曲の何が良いのか考えてみると、歌詞の“あいまいさ”が逆に「わかりやすい」と感じるのではないかと思います。この頃の歌って、歌詞も抽象的というか、そこまで細かい描写ではなかったので自分の状況に合わせて当てはめやすいんでしょうね。だから「わかりやすい」と感じているのかもしれません。また、同じ曲でも聴く時々によって解釈が違ってくるんですよね。なので、いつ聴いても新鮮です。
 対して今の曲は、歌詞がどこか説明的というか、、1から10まで具体的に書いてあるので、それにハマる人は「良い!」ってなるけど、その歌詞にハマらない人にとっては「はぁ?」ってなって共感しにくいのかもしれません。私の知る限り、90年代後半あたりからこういう現象が起こってきましたね。。
 私自身も、一番多感な時期に“80年代の歌詞”に触れられたことは、ある意味ラッキーだったと思います。何と言うのか、[想像力]と[創造力]を両方育ててもらったような気がします。(おっと、ちょっとうまいこと言ったぞ!笑)歌詞の内容を理解する[想像力]と、足りない部分を補う[創造力]を駆使して自分なりの世界観を作っていったんでしょうね。(まぁ、もちろんその当時はそんなことなんて考えていませんでしたけどね。笑)もしかしたら、こうやって文章を書けるようになったのも、この頃の曲によって育ててもらったものが心のどっかに残っていて、それがベースになっているかもしれませんね。

 90年代に入ると、もう私は洋楽に行っちゃったんですよね。。90年代の音楽はコンピュータのいわゆる“打ち込み”というのが全盛で、リズムも早くなって、メロディもどんどん複雑化していきました。もちろん、好きな曲もありましたが、正直、どの曲を聴いても「あれ?どっかで同じようなの聴いたことあるな」と思うようになってしまって、10代のときのようには聴かなくなっていきました。その代わりにハマったのが、洋楽、、特に昔のロックやブルースでした。これもまた私に新しい考え方や価値観を教えてくれましたね。。

 今も様ざまな音楽を聴きますが、やっぱり80年代の曲には特別な想いがありますよね。。
 楽しい思い出も、ツラい思い出も、苦い思い出も全部詰まっていて、曲を聴くとその時の記憶が一気に甦ってきます。その頃は特に気にしていなかった曲でも、不意にテレビやラジオから流れてくると「あぁ、懐かしいなぁ」という気持ちになります。おそらく、あの頃の雰囲気自体が懐かしいんでしょうね。。また、その時は歌詞の意味がわからなかった曲でも、今聴くと「あ、良い歌詞だな」と思うこともよくあります。
 [時代は繰り返す]とよく言いますが、今の若い人たちにもあの頃の雰囲気と曲の世界観を存分に味わってほしいですね。

関連項目
イントロ
青春の味
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