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ある芸人の生き様
先日、とあるお笑い芸人が永眠されました。享年61。
そのニュースは朝、私がまだ寝ぼけまなこでテレビを見ている時に流れて来ましたが、それを聞いた瞬間に目が覚めるほどの衝撃でした。
我々世代にとっては新人の頃から見ていた人なので、正直ショックというよりは「えっ!?」「いやいやいや、嘘でしょ!?」といった感じでしたね。しかも、自らということで、いやぁ、、まさに「聞いてないよ」といった感じです。
ただ、本当に残念ではあるのですが、ある意味ちょっと気持がわかってしまうというか、正直「あるかもな」と思ってしまう節があります。
今の時代、あの人の芸風がだんだん受け入れられなくなってきてしまったことに加え、コロナ禍というダブルパンチで相当行き詰まっていたんじゃないかと。。最近のテレビを見ていても「あぁ、やりづらそうだな」というのが如実に出ていました。おまけに“師匠”と慕っていた志村けんも新型コロナで亡くなってしまって、かなりショックだったんでしょうね。本当に、本当に一瞬、魔が差したのかもしれませんね。。
私にとっても、この人がいたおかげで笑いの見る幅が広がった恩人でもあります。それまでは、私の中で芸人といえばネタかバラエティ番組というイメージしか無かったのですが、この人たちが新しく“リアクション芸”というジャンルを作ってくれました。正直ね、、この人たちのグループのネタって、あんまり面白くないんですよ。。(笑)それがリアクション芸だといきいきしてて楽しそうに見えるんです!私も、初めはそれほど面白いと思わなかったのですが、見ているうちに気付くと「くだらねぇなぁ」と思いながらゲラゲラ笑ってるんですよ。。「くだらな面白い」っていうのは、それまでにない感覚でしたね。“団体芸”や“お約束”といったものも、この人たちが広めていったものです。
また、私はお笑い好きですが、芸人好きでもあります。何て言うんだろう、、私からすると芸人さんってカッコいいんですよね。。それは、見た目とかではなく、生き方とか振舞い方がこう、、人間臭いというか、良いことをしても自分のイメージに合わなければ一切言わないとか、[お笑い]を第一に思っているところが好きなんですよね。もちろんすべてではありませんが、少なくとも私が好きな芸人は、そういう意味ではみんなカッコいいです。(笑)ただ、中には“お笑い芸人”と言いながら役者をやったり、クイズ番組に出て“頭良いキャラ”になってみたり、芸人から“ちょっと面白い人”になってしまっている人もいます。それでもまだネタをしっかりやっていればいいのですが、すっかりネタのことを忘れている人を見ると私も「うーん、、」と思ってしまいます。この人も、たまには役者をすることもありましたが、基本はバラエティで、コロナ前はバリバリ リアクション芸をやってました。もうねぇ、、内容がどうこうというより、それをやり続けていること自体が面白いんですよね!(笑)「押すなよ!絶対押すなよ!」って言っているときのあの嬉しそうな顔を見ると、こっちも笑えてくるのです。何かの番組でこの人が「俺は死ぬまでリアクション芸をやる」みたいなことを言っていたのですが、私はそれを見て、あぁカッコいいなーって思いましたね。(今となっては笑えない話ですね。)
ただ、前項でも書きましたが、今のテレビは自主規制の嵐です。おまけにこのコロナ禍で、この人の超接近のリアクション芸も思うようにできない状況です。推測ではありますが、もしかすると、もの凄い絶望感と窮屈感の中で闘っていたのかもしれません。それを思うと、私も胸が痛くなります。本当に不器用だなと思いますね。(その不器用さが人気だったんですけどね。。)本当に残念としか言いようがありません。
あの人が選んだ道は、決して肯定できるものではありませんが、あの人が残した[笑い]には感謝と敬意を表したいと思います。
最後に、「ありがとう」と「お疲れ様でした」の意を込めて・・・
ヤーーーーーーァ!!
関連項目
自虐