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24時間営業とバリアフリー

 先日、コンビニエンスストアのオーナーが人手不足を理由に24時間営業を中止するというニュースがありました。
 コンビニに限らず、近年は24時間営業を廃止する業種が増えてきています。理由は人手不足、コスト、費用対効果など様ざまあると思います。私も、個人的には24時間営業の必要性には疑問を持っています。
 その一方で、24時間(夜間に)営業してもらわないと困るという人ももちろんいます。夜間に働いている人や、“夜行性”の人にとってはありがたい存在かもしれません。そこで、ふと思うのは、『昔はどうしていたんだろう』ということです。コンビニやファミレスの24時間営業が始まる前だって夜間に働く人は居ました。今みたいに仕事終わりにコンビニに寄って弁当を買うなんてこともできません。ここからは私の想像(妄想?)ですが、夜間の仕事終わりは家に帰って頑張って作るか、前もって自分で作ったり買ったりした弁当を食べるか、適当にある物をちょこちょこっと食べてそのまま寝ちゃうか、それぐらいしか食事をする手段は無かったと思います。ましてや昔は電子レンジだって無かったですもんね、、特に一人暮らしの人にはかなり厳しい環境だったと想像します。
 そういう意味では24時間営業のコンビニやファミレスができたことで、その恩恵を受けている人は多くいると思います。ですが、そうは言ってもやっぱり大多数の人は夜は寝ているわけで、じゃぁ、コストをかけてまでそういう人たちのために24時間開けておく必要があるのかという議論にもなってきてしまいます。都市部の繁華街(最近、行ってないなぁ。。笑)であれば24時間営業していたって客は途切れないかもしれませんが、住宅街や街からちょっと外れた所では夜間の利用者もごく僅かだと思います。

 そもそも24時間営業のウリって何なのかと考えてみると、要は“安心感”だと思うんですよね。。いつ行っても開いていて、買い物や食事や各種用事を済ませることができるところがあれば、生活のリズムも組み立てやすくなります。買い物や食事だけでなく、公共料金の支払いや役所の手続き等が仕事帰りにできれば、本当に便利ですよね。こういった“いつ来るかわからないけど、そこに用があって来る人のためにいつでも開いている”ということが安心感なんでしょうね。うーん、、もちろん企業にとってもメリットがあってやっていることだとは思いますが、古いおっさんとしては「そんなに客って偉いの?」と思ってしまいます。(笑)

 この話を聞いて私は「これってバリアフリーと似てる?」と思いました。(ちょっと強引?笑)近年では公共施設をはじめ、多くの建物や交通機関でバリアフリー化が進められています。言わずもがな、我々障害者もその恩恵を受けています。以前は、「あ、エレベーター付いてる!ラッキー!」だの「スロープあるじゃん!ありがてー!」だのとその度に感激していましたが、最近は私も含めそれに慣れ過ぎてしまって、そっちのほうが標準とさえ思い始めてきてしまっているようにも思えます。そのせいで目の前の“当たり前”に感謝する気持も忘れがちです。逆に言えば、これも一種の“安心感”です。
 社会的にはそれだけ成熟してきたということなので良いことなのですが、“当たり前”に慣れ過ぎてしまうとちょっと厄介ですよね。。(笑)
 自分が常時使うところなら、バリアフリー化されていても、それが当然という感覚になってしまうかもしれませんし、逆にバリアフリー化されていなければ当然不便を感じてしまいます。これはまぁ仕方がないとしても、常時使わないところでも、バリアフリー化されていないと不満に思ってしまうのは、やっぱりちょっと傲慢ですよね。(笑)「あんた、そうやって言うけど、年に何度利用するの!?いつ来るかわからない人のために完璧なバリアフリー化なんて無理だよ!」なんて言われてしまったら、何の反論もできません。(笑)
 24時間営業もこれと似ているのではないでしょうか。夜間でも常に人が来る場所であれば24時間営業が“当たり前”の感覚になるし、それが無くなると多くの人が不便になります。対して、夜間ほとんど人が来ない場所ではバリアフリーと同様、「いつ来るかわからない人のために24時間なんて開けてられないよ!」となるかもしれません。理想としては、そりゃぁ、どの場所でも差がなく同じようなサービスを受けられるのが一番です。これまではそれを良しとしてやってきたと思います。ですが、これからはその場所個々の事情を考える必要があるかもしれませんね。

 当たり前を“当たり前”と思えるのは、その状態がそれだけ安定している証拠だと思います。しかし、これからはその時の状況や価値観や必要性の変化によって当たり前が“当たり前”でなくなってしまうことがあるということを、心に留めておいた方がいいかもしれませんね。
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